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I-カーニヴァル(Carnaval)
カーニヴァルの起源
カーニヴァルの起源について、実は正確には分かっていない。しかし、キリスト教とは異なる多神教の祭が元だと考えられている。その祭は豊作を祝い、感謝する収穫祭だったようだ。キリスト教の時代になると、多神教は排斥され、祭からは多神教的な性質が薄れていった。その結果、祭はQuaresmaが始まる前の数日間にだけ行われる、「謝肉祭」へと変化していった。
カーニバル:一説によればラテン語で“Carnem levare“「お肉よさようなら」と言う意味だ。謝肉祭の最後の日にCarnem levare と言っていたことから名前がついた。
ブラジルのカーニヴァルの起源
ブラジルのカーニヴァルの起源はEntrudoと呼ばれるポルトガルの祭だ。
Entrudoは17世紀にブラジルに伝わった。言葉の意味はラテン語でQuaresmaに入る前の祭りと言うことだ。
Entrudoは、街中での遊びや喧嘩といった性格があり、人々は卵や泥や汚水や粉を投げあったりしていた。また、ほうきで殴りあうこともあった。過激さは年々エスカレートしていく一方だったので、ブラジルでは政府によって禁止されてしまい、より平和的で穏やかな祭に変わった。
カーニヴァルの発展
それではリオのカーニヴァルがどのようにして、現在の形になっていったのだろうか。
19世紀頃のカーニヴァルには2つの流れがあった。ひとつは裕福な者たちの仮面舞踏会。もう一方は大衆による、街中を騒ぎながら練り歩くお祭であった。
現在のリオのカーニヴァルは大衆側の祭から生まれてきたものだといえるだろう。彼らは地域の共同体、あるいはクラブをつくって、音楽を鳴り響かせて通りを練り歩いていた。彼らはばか騒ぎの中で政府への批判を訴えていた。実際、音楽という遊びで自身の意見をカモフラージュさせつつ、多くの人々に呼びかけることのできるという点でカーニヴァルはまたとないチャンスだった。こうした特徴は現代にまで引き継がれており、サンバの歌詞もよく貧困や抑圧からの開放がテーマになっている。
年を経るにつれて、祭の規模は拡大し、街の文化の一部となっていった。まず、カーニヴァルでパレードを行うグループのことをBloco(原義は英語の“ブロック”と同じ)と呼ぶようになった。そのひとつであるDeixa Falar〔意味は「好きに言わせろ!」〕(Estácio地区)が人気を得てどんどん大きくなり、いつしかEscola de Sambaと呼ばれるようになった。Escola de Sambaの名前の由来には2つの説がある。まず、優秀なサンバ奏者のことをProfessor(先生)と呼んだことから"escola(学校)"となった。もうひとつはDeixa Falarの本部の近くに学校があった、ということである。
Escola de Sambaはその後、リオの各地に増えていき、1932年に初のEscola de Samba同士が競い合う、サンバパレードの大会がPraça Onzeで行われた。その大会の主催はジャーナリストMário Filhoが率いるMundo Sportivo新聞だった。1935年にはリオ市の主催となり、現在に至る。
そして、サンバカーニヴァル専用の会場"Sambódromo"が完成すると、ここで行われる大会が「リオのカーニヴァル」のイメージとして定着し、世界中に広がっていった。この一方で、通りを好き勝手に練れ歩くBlocoはだんだん減少していったものの、現在も根強く残っており、リオのあちこちで見ることができる。
MEMO カーニヴァルの最初の音楽
昔の富裕層のカーニヴァル音楽は演奏のみで歌はなかった。サンバもまだ確立されておらず、実に様々なリズムが使われていた。たとえば、ポルカやタンゴ、チャールストン、その他のブラジルの伝統音楽など、多岐にわたった。1880年代になってようやく歌が歌われるようになった。それはマーチ曲だった。その中でもっとも有名な曲はChiquinha Gonzagaの"O abre alas"(1899)である。その後、カーニヴァルの音楽はサンバにとって換わられ、「カーニヴァルといえばサンバ」というように定着した。ちなみに、12月2日はDia Nacional do Samba(サンバの日)とされている。
MEMO カーニヴァルの日にちの決め方
カーニヴァルは年ごとに開催日が異なるが、これはPáscoa(イースター)によってカーニヴァルも決まるからである。Páscoaは春分(ブラジルでは秋分)の日後に始めて起こる満月の後の最初の日曜日である。カーニヴァルはそのPáscoaから7週間前の日曜日と定められる。カーニヴァルはそれから月、火と3日間つづく。次の日の水曜日はCinzas(灰の水曜日)と呼ばれ、ここからQuaresmaが始まる。
MEMO Quaresmaとは?
Quaresma(イースター前の40日間)。この40日間は、肉を食べること、お祭を行うこと、その他あらゆる娯楽、そしてセックスまでも禁じられる。禁欲の40日間である。これは昔のことで今日は形骸化し、禁欲の決まりもあまり重要視されていない。